マートン超えてメジャーへ行く!

 ソフトバンク川崎宗則内野手(29)が7日、球団から打診された複数年契約を拒否し、1年契約で更改した。来季中にも海外FA権を取得し、オフにメジャー挑戦する可能性が高くなった。年俸は9000万円増の2億4000万円。日本ラストイヤーかもしれない来季は阪神マートンの持つ年間214安打を超えることを宣言した。

 破格の条件提示にも川崎の心は揺らがなかった。大幅増の年俸2億4000万円と同時に、複数年契約を打診された。即座に「ありがとうございます」と言いながら、複数年を拒否。1年契約を結んだ。思いはひとつだ。順調にいけば来季中にも海外FA権を獲得する。夢のメジャー挑戦へ支障のない道を選んだ。

 「予想を超える評価をしてもらってうれしい。来年もホークスのユニホームを着る。それだけです。(海外FAについては)簡単に答えを出せない。ただ、自分の中で考えは決まっています」

 今季は球団新記録となる190安打で打率3割1分6厘。選手会長としてチームをけん引したリーダーシップも評価された。国内FA権は行使せず残留。球団は看板選手のメジャー流失を阻止しようと複数年契約を持ちかけたが、本人の意志は固かった。小林至取締役(42)は「球団としてはずっといてもらいたい思いを伝えた。契約という形で表現したが…」と話した。

 「1年、1年が勝負です。複数年を提示されても、自分のモチベーションにはならない。とにかく、目の前のことに集中したいですね」

 早くても2シーズン先の夢の話は控えた。メジャーへ行く前にやり残したことが日本にあった。それは、師匠と仰ぐマリナーズ・イチローの記録を塗り替えた男への挑戦だ。阪神マートンがマークした年間214安打を超えたい。具体的な数字を目標としない男が、はっきりと口にした。

 「僕の中では一番、イチローさんがすごい。イチローさんを超えるマートン選手の記録は抜きたい。理想を言えば10割70本の成績だけど、290本打つくらいのつもりですよ。ファンのためにプレーしたい。プロとしての使命を果たす。とにかく、ハッピーにやります」

 鹿児島、宮崎などで自主トレを行い、2月のキャンプインに備える。安打数の新記録をマークし、日本一を奪還。胸を張って、イチローの待つ夢のメジャーへ羽ばたくつもりだ。