50歳現役!?

 球界最年長記録更新だ!

 中日山本昌投手(45)が24日、名古屋市内の球団事務所で契約交渉を行い、2000万円ダウンの推定年俸1億円で更改した。西武工藤が未契約の中、球界最年長選手となったベテラン左腕は、球団首脳に来季10勝以上を宣言するなど、自信たっぷり。浜崎真二投手(阪急)の持つ日本最年長出場記録(48歳10カ月)更新、夢の50歳現役も視野に入っている。

 2000万円のダウンも、山本昌は前向きに受け止めていた。進退をかけた今季は、開幕直前に故障しながらも、8月からの奇跡の追い込みで5勝を挙げた。崖っぷちからプロ28年目の現役続行をつかみ取った。

 「この年でも契約していただけるということが幸せ。多少のダウンはありましたが、納得の範囲内。あの阪神戦でだめだったら、今ごろ、違う会見をしていたと思う。徳俵で踏ん張った。多少なりとも優勝に貢献できたかなと思う」

 山本昌が振り返ったのは今季初登板となった8月7日、阪神戦(ナゴヤドーム)。KOされれば引退を決意していた試合で6回を1失点。自分でも驚くほどの力が残っていた。まだ、やれる-。自信を深めた山本昌は、この日の交渉の中で28年目となる来季への明るい展望を語ったという。

 「球団としては1年でも長くやってほしいが、彼は、来年は10勝以上する自信がありますと言っていた。彼のことだから何をしでかすかわからない。もし、来年10勝して(契約更改に)来たら、全然違う契約になるでしょうね」

 交渉にあたった今原球団代表補佐は、山本昌の猛烈な自信に触れた。そして、球界の常識を覆してきた男なら本当にやりかねないと予感したという。46歳シーズンでの2ケタ勝利宣言。そうなれば、もちろん史上初で、また1つ、プロ野球選手の常識を塗り替える。同時に、球団側は複数年契約すら視野に入れた新たな契約を検討することになるかもしれない。

 「勝った時の喜びというのは何物にも替え難い。それを味わうチャンスがある限りは、いけるところまで頑張っていきたい」

 28年目、46歳となる来季も進退をかけることは間違いない。ただ、山本昌はあえて限界線は引かなかった。水島新司氏の人気野球漫画「野球狂の詩」に登場するキャラクターで、80歳を超えてもなお生涯現役にこだわる左腕・岩田鉄五郎のようにマウンドに立ち続ける-。

 これまでは漫画の世界や夢物語でしかなかった「50歳現役」が山本昌にかかれば現実味を帯びてくる。【鈴木忠平】