西武との契約交渉が難航している涌井秀章投手(24)が21日、都内の日本野球機構(NPB)で開かれた第2回年俸調停委員会に出席し、自らの意見を主張した。「とにかく自分の思いを話しました。しゃべるのは得意じゃないけど、気持ちは伝わったのかな」と、90分以上にわたった聴取を振り返った。

 昨季はチームトップの14勝(8敗)で5年連続2桁勝利を達成。オールスター戦後は3勝に終わったが、年間を通してローテを守った。球団の提示額は現状維持の2億円プラス出来高。涌井は明言を避けているが、2億2000万~2億3000万円程度を希望しているとみられる。

 今回、特に主張したのは「実績」。日本ハム・ダルビッシュの5億円など、他球団の主力クラスとの比較については「参考資料としては出してますけど(西武から)他の球団は他の球団と言われるので」と重視していない。それよりも、大きなケガなく投げ続け、チームを支えた5年間の結果が2億なのか、という思いがある。「5年間やってきたことを評価してほしい。1年間トータルで見てほしい」と話す。

 出席した西武の前田球団本部長はあらためて「提示は妥当だと思う」と言い切り、調停委に査定方法や提示額の根拠を説明した。春季キャンプが目前に迫り「涌井選手もシーズンに向けてモチベーションを上げてもらわなければいけない」と早期決着を望んでいる。涌井も「(キャンプ前に決着すると)そう思ってここに来ています」とその点は一致。次回の調停委員会は25日の予定。第三者の判断に委ねたからには、どんな結果でも受け入れる覚悟を決めて吉報を待つ。【亀山泰宏】