不気味だ。西武が、7日のWBC初戦で侍ジャパンと対戦するキューバに5-0と快勝した。だが、対戦した西武ナインは違和感を持った。辻監督は言葉を選びつつ「もっと迫力があるというか、振ってくるイメージだった」と吐露した。06年WBC第1回大会でコーチとして、決勝でキューバと対戦。破格の身体能力で圧力をかけてくる難敵。脳裏に焼きついたイメージとはギャップがあった。

 先発の野上は「明らかにスライダー、チェンジアップあたりの速度帯の変化球狙いだった」と振り返る。すぐに察知し、捕手の森と話し合い、直球で押した。するとキューバ打線は振り遅れての三振、詰まり気味の凡打を連発。2巡目に入っても、速球狙いに切り替える気配はなかった。2番手の武隈は「もしかしたら、目慣らしのために変化球狙いを徹底してきたのかも」と推測。栗山も「不気味だと感じました。1、2、3で直球狙いで振ってきたらすごく怖いのに」と眉をひそめた。

 前夜、辻監督は同じ宿舎だった侍ジャパンのメンバーと顔を合わせる機会があった。「明日はキューバ丸裸、お願いします」と頭を下げられた。言われるまでもなく手の内を明かさせるつもりでいた。しかし、ライバルに手の内を隠されたようにも感じた。辻監督はせめてものエールとして「(塁に出れば)走れると思う。投手も剛腕ではないし、真っすぐか変化球か考えず、好球必打で打席に入った方がいい」と言葉を送った。【塩畑大輔】