WBO世界ミニマム級2位の田中恒成(19=畑中)が、天国の恩師へ日本人最速5戦目の世界王座奪取を誓った。同1位フリアン・イエドラス(27)との世界王座決定戦は今日30日、ゴング。29日は、名古屋市内で前日計量に臨み、47・5キロで1発でパスした。

 「やるべきことは、すべてやった」。大一番への準備を整えた田中が、勝利を届けたい恩人は青空のかなたにもいた。3歳から小6まで打ち込んだ空手で、塾長として指導してくれた岐阜・神谷塾の故神谷正光さん(享年42)。11年5月に急死した神谷さんは大相撲の元三段目力士で、幼少時の田中も格闘家精神を植え付けられた。体を打たれ、たとえ痛くても我慢する忍耐の大切さを教わった。

 「空手あってこその今だと本当に思う。ここだけは勝って(神谷さんに)報告したい」と田中。グローブは通常挑戦者が使用する青色を選択。不屈のチャレンジャー精神で最速王者の称号をつかむ。【木村有三】