ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が体重「5キロ増キープ」でビッグマッチに備える。V3戦から約3週間の休養を取り、27日に横浜市内のジムで本格的な練習を再開。10日に4階級制覇を果たしたWBC同級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との来年中の対戦を意識し、試合後も体重を増やさない調整方法を取り入れた。年末のV4戦での完勝も誓った。

 久しぶりのジムワークも、井上は初日からエンジン全開だった。きっかけは“ロマゴン”。10日に米ロサンゼルスで4階級制覇を達成し、同じスーパーフライ級の王者となった瞬間を現地で観戦した。「感じたのは絶対に負けないというハングリー精神。あれを見て、自分も家にいる時からもっとボクシングのことを考えようと心がけるようになった」と刺激を受けた。

 ゴンサレス陣営が、「井上戦は来年末」と具体的なタイミングを公言したことで、調整法も大きく変えた。これまでは試合を終えるとスーパーフライ級のリミット52・1キロから60キロ前後まで体重が戻っていたが、V3戦後は57キロ程度を維持。外食を減らすなどし、増加幅をコントロールするようになった。「ロマゴン戦が来年末になっても減量苦にならないように、節制してこの体重に慣れたい。ベストの状態で迎えられるように、新しい調整法を取り入れた」と説明した。

 V2戦では拳を痛め、V3戦では試合前のスパーリングで腰を負傷と、2試合続けて故障に苦しんだ。年末に予定されるV4戦で対戦を目指してきたWBA王者コンセプシオン(パナマ)との統一戦は、合意に達しなかった。それでも、井上は「相手は関係ない」ときっぱり。「何よりもコンディション。次こそ自分が納得いく試合ができるように、初心に戻ってやっていきたい」と言葉に力を込めた。【奥山将志】