元WBO世界バンタム級王者亀田和毅(25=協栄)が米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏(70)の政策方針に懸念を示した。10日、12月中旬までロサンゼルスなどで行うキャンプのために渡米する羽田空港で応対し、前日9日に大勢が決した大統領選に触れ、「めちゃくちゃ心配です」と顔を曇らせた。

 というのも、昨年10月に結婚した奥さんはメキシコ人。トランプ氏は選挙中から「(メキシコからの移民は)麻薬や犯罪を持ち込む。彼らはレイプ犯」などの過激発言を繰り返し、国境に壁を建設する計画、さらに北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しも掲げる。米国向け輸出が大半を占めるメキシコ経済には大打撃が予想され、「さっそくメキシコペソも急落している。ボクシングもメキシコ人ボクサーが米国で試合するのも減るかも知れない。どうなるかわからない」と心配を募らせた。

 妻は現在はメキシコシティーにおり、米国で合流するが、「これからはメキシコよりも日本にいるほうが安全だし、しばらくはそうするつもり」と述べた。07年から武者修行を続けてきたメキシコへの愛着は深いが、動向が落ち着くまでは距離を置くことになりそうだ。

 自身も先月、日本ボクシングコミッションからライセンスが発行されたばかり。日本を拠点にするタイミングでもあり、今後はスーパーバンタム級での世界王座返り咲きを目指す。「日本でのボクシング界を盛り上げていきたい」と息巻いた。