4本のベルトを守る-。ボクシングのWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が23日、同級6位カルロス・カールソン(メキシコ)を迎える12度目の防衛戦(3月2日、両国国技館)への練習を都内のジムで公開。「格好いいパパで終われるように」と一層の父の覚悟をにじませた。

 格段の「刺激」があった。長男豪祐君(4)が折り紙を使って手作りしてくれた特製ベルト。「WBCの『W』の字を書くのが大変だったみたいで。泣けてきましたね」と最高の贈りものになった。沙也乃夫人からも布地のベルトをもらった。家族のため-。「12度目なんで、もうちょっと早くもらっても」と冗談も口にしたが、「うれしかった」と目尻を下げた。

 昨年9月、WBA王座を12度防衛したモレノとの再戦を制した。業界で最も権威ある米専門誌「リング」のチャンピオンベルトが懸けられた「バンタム級頂上決戦」に勝ち、そのベルトも1月に手元に届いた。5年以上保持するWBCベルトと合わせ、計4本。だからこそ、負けられない。

 この日は2回のスパーリングを消化し、「最高の状態に仕上がってきた」と、「神の左」を上下に打ち込んでみせた。「強くて、リングを下りたら優しいパパでいたいですね」。その姿を見せる準備は万端整った。【阿部健吾】