今日23日のWBO世界バンタム級タイトルマッチに臨む同級6位大森将平(24=ウォズ)が、王者の大失態に怒った。22日、大阪市内での前日計量で王者マーロン・タパレス(25=フィリピン)が制限体重の53・5キロを0・9キロオーバー。この日の調印式を欠席する異例の行動をとりながら大失態を犯し、王座を剥奪された。試合は予定通り実施されるが、大森陣営はプロ失格の行為に怒りが収まらなかった。世界初挑戦の大森が勝てば新王者、負けか引き分けの場合は空位となる。

 拍子抜けな決意表明の場になった。大森の隣に“標的”がいない。華やかな調印式の時間帯に、主役となるタパレスは大阪市内を走っていた。王者の行動に「怒りと悲しいのと残念な気持ち」。国際的マッチメーカーのジョー小泉氏が「調印式を丸ごと欠席のケースは記憶にない」と話した直後、王者がやって来た。

 多くの視線が注がれた計量。王者は下着を脱ぎ、全裸になったが0・8キロオーバーを告げられた。約1時間20分前、非公式の事前計量では0・55キロオーバー。調印式欠席を経て、なぜか増えていた。マイナス0・2キロでクリアした大森を尻目に次はサウナへ。約2時間の猶予が与えられ、その再計量でも下着を履いた状態とはいえ、さらに増えて0・9キロオーバー。ギブアップを表明すると「大森に申し訳ない」と涙ながらにベルトを返上した。

 大森にとっては裏切られた格好だ。15年12月に唯一の黒星をつけられ「世界に行くのに必要なものを全て持っている」と尊敬してきた。だからこそ体重超過を知り「イラッとした」。その上で「勝負事では怒りだったり、熱くなったら負け。タパレスにリベンジする」と自らに言い聞かせた。

 大森昌治会長も「あきれた。調印式を欠席したのに、なんで増えんねん」と怒りを隠さない。両者1・1キロ差で決行される世界戦。公平な条件とはいえないが、同会長は「怒りを込めて勝たないといけない」。大森が愚行のタパレスをリングで打ち砕く。【松本航】