WBA&IBF世界ライトフライ級王者田口良一(31=ワタナベ)が、日本人初の偉業に失敗した。挑戦者ブドラー(南アフリカ)にペースを握られ、最終12回にダウンを奪うも、1ポイント差の0-3で判定負け。日本人3人目の統一王者で初の防衛戦だったが、WBAは日本歴代6位に並ぶV8も逃した。今後は時間をおいて方向を見極める。

 最終12回に田口の左フックがアゴに命中した。ブドラーはダウンもレフェリーはスリップと判断。採点集計中にダウンと訂正されたが、ジャッジ3者とも1ポイント差だった。試合中ダウンなら逆転得たか。田口は「もう1回ダウンまで詰め切れなかった。自分がダメ。受け入れます」と負けを認めた。

 4回にはボディー攻撃にコーナーへ追い込まれた。サイドの動き、ワンツーに続くジャブや右クロス、スタミナ。予想通りで対策していたが「ペースを取られた。うまく強い実力者だった」。WABミニマム級5度防衛から2階級制覇のキャリアを崩せなかった。

 日本人では井岡、高山に次ぐ2団体統一王者も、過去2人はすぐに王座の1つを返上した。田口は初の偉業への挑戦で、応援団も倍増の1300人が駆けつけた。石原トレーナーは「過去最悪の入りで足が動かなかった。重圧からか、気持ちがつくれていなかった」と、逆に負担になったかもしれない。

 前日にジャッジ構成で紛糾した。1人がブドラーと同じ南アフリカ人で、夜に残る2人のうち1人が日本人に変更された。構成はプロモーターのジムに最初に伝えられていた。直前に気づくなど、長期防衛から陣営に気の緩みがあったともいえそうだ。

 ブドラーは日本で再戦も歓迎した。田口は「応援に応える結果を出せず悔しい。あとは何も考えていない」。陣営は階級アップなどのプランもあるが、何より田口が再び気持ちをつくれるか。進退を含めじっくり考えることになる。【河合香】

 ◆田口良一(たぐち・りょういち)1986年(昭61)12月1日、東京都大田区生まれ。04年にワタナベジムに入門してアマ2戦2勝(2KO)。06年プロデビューで1回KO勝ち。ライトフライ級で07年全日本新人王。13年4月に再挑戦で日本同級王座獲得。同年8月に井上に判定負けで初防衛失敗。14年12月にWBA世界同級王座獲得。17年12月にIBFと2団体同級王座統一。167・5センチの右ボクサーファイター。