電車内で会社員男性(36)に無断で写真を撮影されて立腹し、蹴るなどしたとして、警視庁南千住署は20日までに、元岩手県議で覆面レスラーのザ・グレート・サスケ容疑者(39=本名・村川政徳)を、暴行の現行犯で逮捕した。19日深夜、東京都内のJR常磐線車内で男性の胸ぐらをつかみ、足を蹴るなどした疑い。同容疑者は当初の調べに本名を黙秘。蹴ったことについても否認している。

 南千住署の調べでは、サスケ容疑者は19日午後11時50分ごろ、JR常磐線上り列車内で、乗客の男性から携帯電話のカメラで無断撮影されたことに腹を立て、男性の左ヒザを蹴るなどした疑い。同容疑者は足立区のJR北千住駅から乗車。車内で男性に撮影されたことに気づき「無断で撮るな」などと注意したが、カメラを向けられたままだったため、電話を取り上げて床に投げ捨て、胸ぐらをつかんで前後に揺さぶり、ドアに押しつけるなどしたという。携帯電話のカメラには、同容疑者の後ろ姿の写真が1枚、残っていた。

 サスケ容疑者は、男性のバッグを持って荒川区のJR南千住駅で下車。男性も後を追った。同容疑者はバッグの中身を出し、他のカメラの有無を確認し、男性をその場に残して改札を出たという。この様子を目撃した通行人が通りがかった警察官に「サスケがもめてるよ」と通報。駅で荷物をバッグに戻していた男性から被害の届けを受けた同署が同日午後11時58分、駅近くを歩いていた同容疑者を現行犯逮捕した。逮捕時は、黒いジャージー、灰色ズボンに覆面姿だった。

 サスケ容疑者は調べに対し「名前はザ・グレート・サスケだ」として、当初は本名を黙秘。「オレにも肖像権がある」と話し、「胸ぐらをつかんだことは認める」としたが、蹴ったかどうかは「怒りのあまり、覚えていない」と供述しているという。同容疑者は岩手県議時代も反対を抑えてマスク姿で登庁を続けたが、南千住署は逮捕後、マスクを脱がして「所持品」として保管。素顔にして取り調べを行っているという。同署では弁護士の接見時には着用を認めるが、留置場内と取調室内、送検時には着用を認めない方針。

 20日は、サスケ容疑者の所属事務所の荒井英夫社長が接見。同社長は「子どもたちに夢を与えるプロレスラーがこのようなことになり、申し訳ありません」と陳謝する一方、「無断で写真を撮るのは迷惑防止条例違反ではないか」とも話した。親交のあるモッツ出版の高須基仁社長も駆け付け「不当逮捕だ」と話した。