6月13日の試合中に亡くなったノアの三沢光晴さん(享年46)と、「日本プロレス界の父」と呼ばれる力道山が、テレビCMで対峙(たいじ)するプランが浮上した。三沢さんが出演するCMの放送を継続している不動産仲介業「ザ・リーヴ」の佐藤和弘社長(46)が3日、「来年4月からCGを使って三沢さんと力道山さんを共演させたい」と明かした。日本プロレス史に残る2人が初めて同じリングに登場することになりそうだ。

 プロレスの世代を超えたカリスマ対決プランが、浮上した。三沢さんが出演している「ザ・リーヴ」のCMは、同社がスポンサーを務めるテレビ東京系のバラエティー番組「ゴッドタン」で放送され、三沢さんが亡くなってからも継続されている。同局との契約は来年3月までだが、佐藤社長は4月以降も放送を続けたい意向で、「予算などにもよりますが、三沢さんの映像は流したい。夢ですが、可能なら力道山と共演させたい」と話した。

 佐藤社長の構想では、CMは「ザ・リーヴ」があっせんするマンションに学生が転居する場面から始まる。その学生が部屋でテレビをつけると、リング上で三沢さんと力道山が対峙(たいじ)し、学生が驚くというもの。佐藤社長は「プロレスファンが喜ぶCM。見ている方に夢を与えるCMにしたい。うちの宣伝は最後に社名が出れば、それでいいです」と話す。学生役には丸藤正道、KENTA、潮崎豪ら若手レスラーの起用を思い描いている。

 現在、力道山の肖像権はノア百田光雄の保恵夫人が社長を務めるリキエンタープライズが持っている。同社役員でもある百田は、佐藤社長の構想について「映像をCG処理化して利用するということだよね。検討はできる」と前向きな姿勢。百田によると過去、力道山は5社ほどのCMに出演しているという。

 佐藤社長は21歳で不動産業界に就職。営業職を13年間務め、33歳で独立した。営業時代は成績不振、取引先からのクレームなどで、何度となく辞めようと思ったという。「そんな時、勇気づけられたのが、三沢さんのプロレスだった。力道山さんは戦後の日本に勇気を与えた。プロレスへの恩返しの意味でも、夢の共演を実現したい」と目を輝かせていた。【塩谷正人】