昨年のK-1

 MAX世界王者の魔裟斗(30=シルバーウルフ)が、プロボクシング元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)ばりの1発KOを目指す。13日のK-1

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 MAX(日本武道館)での総合格闘家川尻達也(31=T-BLOOD)との対戦を控えた8日、都内のジムで練習を公開。「タイソンをイメージする」という強烈な左右強打で、6年ぶりに取り入れた筋力トレーニングの成果を見せた。魔裟斗は川尻戦と、大みそかに予定される2試合で引退する。

 均整の取れた逆三角形の肉体が、リング上で躍動した。魔裟斗はこの日、3分3回のスパーリングを実施。タイソンをほうふつとされる低い体勢から、強烈なパンチを何発も打ち込んだ。その威力はスパー相手の顔面が、ヘッドギア越しに真っ赤になるほどだった。会見では「1発の力は上がった。今までで一番強いよ。マイク・タイソンのイメージなど、スパーの中でいろいろイメージしてやっている」と笑顔で答えた。

 今年3月22日の東京マラソンを完走後、本格的な練習を再開した。「一番強いときに、まだもっと見たいと思われながら辞めたい」。4月1日の年内引退会見での発言通り、「パワー」を今年のキーワードに掲げ、さらなる実力アップをはかっている。6年ぶりにベンチプレス、スクワット、デッドリフトなど、筋力トレーニングを導入。週2~3回、練習時間2時間の内、約半分を筋力アップに費やした。05年5月から指導する土居進トレーナーは「魔裟斗選手と、私の目的が合致し取り組んだ。パンチ力、キック力をつけるため、全身の筋力をつけた。最高の仕上がり」と話した。

 総合格闘家との対戦成績は5戦全勝。しかし、KO勝ちは02年2月の村浜戦の1試合のみ。過去5年間のK-1戦績も23戦中7KOと、決してKO率は高くない。土居トレーナーは「目標はあくまで大みそか」と川尻戦は魔裟斗集大成の過程と位置付ける。だが、魔裟斗自身は「負ければ即引退」と退路を断った。それは「負けるわけがない」という自信の表れ。魔裟斗が、タイソンばりのKO劇で、「成長する王者」を見せつける。【塩谷正人】