<プロボクシング:バンタム級8回戦>◇13日◇東京・後楽園ホール

 元日本スーパーフライ級王者菊井徹平(30=花形)が、リングネームを「サラリーマン徹平」と変えて迎えた初戦を白星で飾った。渡辺才一(船橋ドラゴン)を相手に3-0で判定勝ち。KOこそならなかったが、ジャッジ1人がフルマークの完勝だった。

 リングアナから「改名後、初の試合です」と紹介されると、場内から爆笑が起きた。だが、集中した菊井の表情は少しも緩まない。伸びのある左ストレートで、渡辺を何度ものけぞらせた。7回には強烈な右フックでダウンを奪った。勝ち名乗りを受けると、営業マンらしい90度の丁寧なおじぎで声援に応えた。

 07年の世界挑戦失敗後、納得のいく練習ができなくなり、試合から遠ざかった。その間に人材派遣会社に就職。社長から「どんな世界もやる気がすべて」と教えられ、仕事を続けながら、今年6月に再起を決意した。その後、ボクシング専門誌にスーツ姿の写真が載ったことから、ジムの花形進会長から「サラリーマンの星になれ」と改名を提案された。KO勝ちを逃し、「まだ試合より名前の方が面白いですね。名前に見合うような面白い試合をしないと」と苦笑い。花形会長からは「次はネクタイにスーツで入場だな!」とダメ出しを食らっていた。【森本隆】