WBA世界スーパーフェザー級3位内山高志(30=ワタナベ)が、還暦を迎えた会長にジム初の世界王座奪取を誓った。同級王者サルガド(メキシコ)への挑戦(11日、東京ビッグサイト)を控えた5日、都内で練習を公開した。この日は渡辺均会長の60歳の誕生日で、練習前に祝いの赤いちゃんちゃんこ、帽子、座布団を贈り、「60歳のお祝いに、必ず勝って王者になります」と誓った。

 入門時からこの時を待っていた。アマチュア時代は観光会社で事務職をしながらボクシングを続けていた。しかし、04年のアテネ五輪アジア予選で3回戦敗退。五輪出場の夢を逃したことで、グローブを置いて社会人になった。その後、内山の素質にほれ込んだ渡辺会長ら同ジムスタッフからプロ入りを説得された。その熱意に内山も「やっぱり後悔したくない」と翻意。「世界王者になって恩返しする」とワタナベジムからのプロ入りを決めた。

 万全の準備をしてきた。2階級制覇王者リナレス(帝拳)を、わずか73秒で撃破した22戦無敗の王者との一戦へ、自己最多の110回のスパーリングを敢行した。「こういう舞台に立てるのも会長のおかげ。勝ってジム初の王者になります」と内山。還暦祝いにベルトもプレゼントするつもりだ。【浜本卓也】