WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(30=ワタナベ)が11日、1月の世界王座奪取後に受けたマネジメント会社との契約オファーを断っていたことを明かした。都内での公開練習後、「4、5社ぐらい。でもそういうレベルじゃないし練習をやらないと不安。有名になりたくてやってるわけじゃなくて強くなるためにやってますから」と理由を語った。

 グラナドス(35=ベネズエラ)との初防衛戦を前にしても初心は忘れていなかった。内山は拓大入学時は補欠にも入れず仲間のかばん持ちをし、卒業後は会社員も経験。30歳でベルトをつかんだ苦労人だ。性格もマスクも良い14戦全勝の世界王者にマネジメント会社も熱視線を注いだようだが、本人は「練習して努力して上がってきたと思っている。まだ1回目の防衛戦ですから」とボクシング中心の生活を変えなかった。

 そんな純粋な愛弟子に、還暦の渡辺会長が一肌脱いだ。この日の公開練習では、185センチのグラナドス対策にと、181センチの同会長がスパーリング相手を務めた。プロのリングに導いてくれた恩師と50秒間こぶしを交え、内山は「ありがたい」と感謝。「デビューしてから油断したことはない。今回も勝ってみんなに喜んでもらいたい気持ちは強いです」と心から話す姿に、すきは見当たらない。【浜本卓也】