総合格闘家の石井慧(23=アイダッシュ)の日本復帰戦が21日、電撃的に決定した。25日に行われるDREAM16(愛知・日本ガイシホール)への緊急参戦が決まったもので、無差別級で争った09年DREAMスーパーハルクトーナメント王者ミノワマン(本名・美濃輪育久、34=フリー)との日本人対決となった。22日にも正式発表される。プロデビュー戦で完敗を喫した、昨年12月31日の「Dynamite!!」での吉田秀彦戦以来、約9カ月ぶりに日本のリングにカムバックする。

 急転直下で決まった国内復帰戦だった。石井は総合格闘技興行SRCと1試合契約があり、当初は10月30日のSRC15(東京・両国国技館)への出場で調整していた。しかし、外国人選手とのマッチメークが難航。今年に入って海外で3試合を消化した石井は、一日も早い日本での試合を希望。SRCと時間をかけて話し合いを続け、最終的に団体側から意向を尊重された。

 石井サイドによれば、SRCとは両者納得した形で契約を解除したという。石井の関係者は「SRCが本人の気持ちと格闘家としての将来を考えてくれた英断です」と説明した。その後、石井はDREAM側からの出場オファーを受け、DREAM16への参戦を決断。昨年12月31日の吉田戦以来、約9カ月ぶりとなる日本での試合が決定した。22日にも都内で正式発表される予定だ。

 対戦相手に決まったミノワマンが、石井が考えていた国内復帰戦の対戦相手のイメージと合致したことも大きかった。吉田戦の敗戦の悪夢を一掃できるような実績と名前のあるファイター。ミノワマンは階級制を無視した無差別級を主戦場とし、昨年もDREAMで開催された無差別級で争うスーパーハルクトーナメントを制覇。「世界最強超人」の称号を手に入れた。ボブ・サップやチェ・ホンマンといった超ヘビー級選手を倒した「無差別級」王者は、石井にとって格好の獲物だった。

 DREAM16は、ボクシングWBA世界フライ級タイトルマッチ、王者亀田大毅(亀田)-挑戦者坂田健史(協栄)と2元中継で、TBS系列のゴールデンタイムに放送される。昨年大みそかにTBSで全国中継された吉田戦敗退は大きなイメージダウンになった。それだけに日本全国にアピールできるゴールデンタイムでの日本復帰戦の中継は、汚名を返上する最高のシチュエーションでもある。

 海外3試合で経験を積んだ。7月上旬から9月上旬まで約2カ月間、米ロサンゼルスで海外修行した。米総合格闘技UFCミドル級王者アンデウソン・シウバらと一緒に練習を積み、さらに自信をつけた。「世界最強」「60億人分の1」を目指す石井が、総合格闘家としての強さを証明する舞台を整えた。