<プロボクシング:WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇8月31日◇東京・日本武道館

 WBA世界バンタム級王者亀田興毅(24=亀田)が2度目の防衛に成功した。同級8位ダビド・デラモラ(23=メキシコ)から3回にダウンを奪い、その後は無敗挑戦者の連打に手を焼いたが、激しい打ち合いを制して、3-0の判定勝利を飾った。亀田の戦績は26勝(16KO)1敗。

 何度も連打を浴びた。しかし興毅は堅実にガードし、右フック、左ストレートを放った。手数の多い無敗挑戦者に対し、1発1発、有効打を狙った。3回にデラモラの拳で左目上をカット。その直後、逆に「手応えあった」(興毅)左フックでダウンを奪ったが、深く切った左目の流血を意識せざるを得なかった。豪快に打ち込む敵に対し、リスクを最小限に抑えたノーモーションの左などで応戦。3-0の判定で接戦を制し「勝ったことには、何であれ満足」とホッとした。

 ジャッジ3人の採点も1~3ポイント差と僅差だった。「デラモラは若くてええ選手やった。試合はええとこもあれば、悪いとこもある。理想の勝ちではない」と反省の弁を続けたが、収穫もある。バンタム級転向3戦で全員からダウンを奪ってきた。興毅は「ダウンを取れたのは次につながる。バンタムはもうちょっとパワーがいるかな」と、年内に理想的なバンタム級の体に仕上げる覚悟を示した。

 来月いっぱいで亀田プロモーション社長就任から1年が経過する。世界戦がない時期は就寝が午前2時を回り、睡眠時間は平均5時間程度。ボクサーと社長を両立させているが、トップアスリートとして時間が足りない。「試合が決まってない時は1日36時間ぐらいほしい」。テレビ番組をきっかけに描き始めたという富士山の油絵を就寝前に手がけることで気持ちを和らげている。

 日本人初の世界3階級制覇のうち、2度が王座決定戦だったことや対戦相手の世界ランクが上位ではないことで批判もある。だが「階段は飛び越えたら踏み外す。1歩1歩、上がる。最後は、そんな批判も全部消えていると思う」と無心に突き進む覚悟だ。

 V3戦は12月の亀田祭り。メキシコ人初の4階級制覇王者ホルヘ・アルセ戦、暫定王者ウーゴ・ルイス(メキシコ)との統一戦などが候補。実現すればビッグマッチ。激闘を経験した興毅が、次戦で成長した勇姿を示す。【藤中栄二】