WBC世界フライ級王者の五十嵐俊幸(29=帝拳)が勝利を呼ぶグリーンを身にまとい、日本人対決に臨む。4月8日に東京・両国国技館で、同級7位の元WBA世界ミニマム級王者・八重樫東(30=大橋)との2度目の防衛戦を控え、30日に都内の帝拳ジムで練習を公開した。今回はトランクスとシューズの色を母校・東京農大のカラーとなる緑に新調。アマチュア時代、八重樫とは4戦全勝だが、うち大学で3勝している縁起の良いカラーを着用し、必勝態勢で臨む覚悟をみせた。

 プロでも負けるわけにはいかない。五十嵐は、アマ時代から数えて5度目の対決となる八重樫との激突に向け、不退転の決意を口にした。4戦全勝している1歳上の先輩との対決に向け「もう次(の対戦)はないだろうし、これで負けたら負けです。過去4度の勝敗は関係なく、今回で決したい」と追い込むような言葉で自らを鼓舞した。

 3度の八重樫戦は東京農大ボクシング部に在籍していた時だった。先月、同部のパーティーに招待され、大学カラーとなる緑と白のミットを特注で手配し、後輩たちにプレゼント。その際、完成した実際のミットを眺めて「緑も格好いいな」と、これまで赤系統を基調としていたトランクスとシューズを緑に変更することを決めたという。八重樫と最後に対戦したのは大学2年時の国体予選。五十嵐は「最後の試合は10年ぐらい前ですけど、何となく相性はいいかなと。能力的には八重樫さんの上をいく部分もあるので勝てない相手ではない。勝てる自信はあるので」と笑みがこぼれた。

 12キロ近い厳しい減量も同日の練習終了時でリミットまで残り1キロという状態まで、順調に絞り込んだ。公開した2回のスパーリングではフットワークを使うシーンもあれば、接近して打ち合う場面もあった。八重樫陣営の視察もあったが「手の内は隠していません」と王者の風格を漂わせた。ボクシングファンの下馬評では劣勢が予想されるが「ボクが第三者ならば同じ予想」と平然。八重樫戦5連勝に向け、ただ集中していた。【藤中栄二】