<プロボクシング:73・4キロ契約体重10回戦>◇5日◇東京・代々木第2体育館

 WBC世界ミドル級12位の村田諒太(28=帝拳)は、同級21位のアドリアン・ルナ(メキシコ)に10回判定勝ちした。

 村田は9回に仕留めるどころか、パンチをかわしてふらついた。「何やってんだ!」のやじが飛ぶ。最終ゴング後は「アッー」と、5連続KOの期待がため息に変わった。

 4回にKOチャンスもあった。右ストレート5連発で、ルナは村田に倒れかかりながら手をついた。スリップダウンとされたが、村田はここぞと「倒しにいった」が逃した。

 初の判定の大苦戦でまだ5戦の甘さを知らされた。「すべて未熟。情けない」。7月に米国でWBAスーパー王者ゴロフキンと初スパーリング。大きな収穫を得たが「また会ったら、何のための練習だったか怒られそう」と苦笑した。

 ルナは格下ながら、20戦こなしたメキシコ王者。村田はのれんに腕押し状態に「パンチを殺すのがうまかった」と脱帽した。4回のラッシュで終盤はスタミナ回復にも四苦八苦。「試合で初めて疲れ、弱気になった。最後までもつかと(心が)折れそうになった」と吐露した。

 本田会長は「人の3倍で進んでいる。やりにくすぎる相手で及第点」と評価した。6戦目は年末に日本、来秋以降に世界挑戦のプランに変わりはない。村田は「同じことを繰り返さないこと」と、苦戦も糧に2つ目の頂点へ成長を期した。【河合香】