ボクシングの元世界2階級制覇王者ホルヘ・リナレス(29=帝拳)が、柔らかな体を武器に悲願の3階級制覇に挑む。今月30日のWBC世界ライト級王座決定戦(東京体育館、日刊スポーツ後援)に向けて9日、都内のジムで12回のスパーリングを敢行。9回にはフィリピン人選手をカウンターの右ストレートで“KO”するなど、順調な調整ぶりをアピールした。

 09年のWBAスーパーフェザー級王座陥落後、柔軟性への意識を変えた。「ベネズエラ人は体が硬い」と棒を使い、肩の可動域を広げるトレーニングを毎日続けることで、上半身の操作性がアップした。「以前はスピードばかりを考えていた。でも、大切なのは柔らかさ。そうすればどんなタイミングでもパンチが出せるし、疲れにくい」と解説した。

 初の3階級制覇挑戦となった11年のWBC世界ライト級王座決定戦は、11回TKO負け。昨年12月にはWBA同級王者への挑戦が決まっていたが、試合1週間前に相手のけがで試合が中止になった。初来日から12年。絶好調で迎える大一番に「15回でも出来るぐらいスタミナにも自信がある。最後のチャンスだと思って戦う」と闘志をみなぎらせた。【奥山将志】

 ◆ホルヘ・リナレス

 1985年8月22日、ベネズエラ生まれ。アマ戦績151勝5敗。17歳で来日。02年12月に帝拳ジムからプロデビュー。07年7月にWBC世界フェザー級王座、08年11月にWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得。173センチの右ボクサーファイター。