大相撲の名古屋場所で4勝11敗に終わり、幕下転落が確実な十両若の里(39=田子ノ浦)が、8月3日から始まる夏巡業に参加することが28日、分かった。今夏は8月19日に八戸市、20日に七戸町と、地元青森で3年ぶりに巡業が開催される。現役引退は決定的とみられるが、決断はまだ下していない。関係者によると、地元での巡業を最後の花道にと考えているようだ。

 若の里は、17年半務めた関取から転落が確実となった千秋楽後に「本音はまだまだ現役で相撲を取っていたい。でも、現実として幕下に落ちる。幕下で取るつもりはない。悔しいですけど、最後は現実を受け入れることになると思います」と引退する意向を示した。ただ「考える時間をもらいたい」とも話していた。

 周囲によると、その理由は特に七戸町での「野辺地・七戸場所」。ポスターには若の里も起用され、6月に急逝した元大関貴ノ浪の音羽山親方と、先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)の追悼も予定されている。関係者が多く訪れる予定で、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)も巡業への参加を了承しているという。

 以前から「本場所がない青森や東北では、巡業が1つの楽しみなんです」と話していた。自身も中学3年の夏、弘前市での巡業で当時小結の貴花田(後の横綱貴乃花)に稽古をつけてもらい、角界入りを一気に決断した経緯がある。今度は自らが、地元開催の巡業で恩返しをしたいようだ。

 若の里はこの日、兵庫県内で開かれた全国高校総体の相撲競技を観戦。「まだ気持ちの整理はついていないです」とだけ話した。