19歳の十両阿武咲(阿武松)が、生きのいい相撲で大関をうならせた。秋巡業は11日、甲府市で開催。稀勢の里(29)に指名された19歳は「あまり覚えていない」ほど必死に挑んだ。すると2番連続で、それまで佐田の海や豊響らに12番全勝だった大関を押し出した。計3勝3敗。互角に渡り合い「本当にありがたい。早く追いつきたい気持ちが強くなりました」と力が湧いた。

 誕生日は1日違いで、ともに10代で関取昇進と、縁がある2人。巡業初稽古だった稀勢の里もスイッチが入った。ぶつかり稽古で7分間胸を出し「初日からガンガン来てくれて、いい稽古ができた。まじめにやっているお相撲さんには胸を出したくなる」と鍛えた。

 稀勢の里自身も若いとき、横綱朝青龍に胸を借りて「ここで一発やれば新聞に載るかなと思っていた。(阿武咲も)ちょっと載らせてあげたいね」。そんなエールに阿武咲は「早く強くなりたい。絶対に上がる。その気持ちしかない」と話した。