結びの一番で波乱が起きた。西前頭2枚目の荒鷲(30=峰崎)が、横綱白鵬(31=宮城野)を寄り切りで撃破。協会関係者も仰天の金星となった。

 役員室で見守った八角理事長(元横綱北勝海)は、勝負がついた瞬間、開口一番に「おいおい」と驚きの表情を隠さず「やるねぇ、なかなか。ビックリした。こんなこともあるんだね」と続けた。白鵬の心理を「相四つだし(荒鷲が6日目に)鶴竜に勝った相撲も見ている。『後ろからでも(かかって)来い!』ぐらいの気持ちだったろう。油断しちゃダメと思いながら、油断してしまったのかな」と察した。「荒鷲を褒めなきゃダメだ」と褒めつつ「いやー、ビックリした」と驚きは、しばし止まらなかった。

 正面土俵下で審判長を務めた藤島審判部副部長(元大関武双山)も「稽古場で1000番やっても勝てる相手。白鵬は調子を下ろした(相手を見くびった)のでしょう。まさかの展開。勝負はやってみないと分からない」。荒鷲については「何とかしてやろうという気持ちが、この結果になった。ひょうひょうとして、つかみどころのない味のある力士」と評価。荒鷲は今場所2勝目で、いずれも横綱戦の金星。これには「横綱にしか勝っていないのはすごいこと。これで(荒鷲が残り)全て負けたら(2横綱は)立場がないね」の言葉で、波乱の大きさを表していた。