幕下でただ1人、6戦全勝でこの日を迎えた東前頭16枚目の阿炎(あび、22=錣山)が、5勝1敗の出羽疾風(28=出羽海)を上手出し投げで破り、7戦全勝で優勝を決めた。

 大一番を迎える前夜は「気持ちで負けてて、変化とか考えていた」という。それを吹っ切ったのは、師匠の錣山親方(54=元関脇寺尾)の言葉。「思い切り前に出れば大丈夫だ」。その信念を実践し「真っすぐに行って良かった。しっかり立ち合いだけを考えたのが良かった」。ちょうど2年前の15年春場所で新十両昇進を果たした時、本名の「堀切」から、しこ名を師匠の幼少の頃からの愛称だった「アビ」にちなんで改名した阿炎は、師匠に感謝した。

 幕下は15枚目以内なら、7戦全勝で十両昇進が決まる。阿炎も今場所の番付が、もう1枚上の15枚目だったら15年秋場所以来の再十両が決まっていたところ。そんなことは気にも留めず「わがままは言いません。次の場所、頑張ります。(幕下は)勉強の期間。最初は(気持ちが)くさっていたけど、これがきっかけになると思う」と十両復帰はもちろん、その上を見据えた。