大相撲春場所で負傷しながら新横綱として劇的な2連覇を果たした稀勢の里(30=田子ノ浦)が「左上腕部の筋損傷で加療1カ月」と診断されたことが明らかになった。師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が29日、明かした。4月2日の三重・伊勢神宮奉納大相撲から始まる春巡業は当面、休場。ただ、途中から出場する可能性はあるという。

 稀勢の里は、13日目の日馬富士戦で敗れた際に左上腕の筋肉を損傷し、関係者によれば当初の見立ては全治3カ月だった。だが、その夜のうちに静岡などからトレーナーを呼び寄せて懸命に治療。「次の日の朝はしっかり動いた」と、だいぶ回復できたという。27日の優勝一夜明け会見でも、痛みは「ほぼほぼない」と笑っていた。大けがに変わりはないが、負傷した直後は救急車で搬送されたことを思えば、驚異の治癒力といえるかもしれない。

 相撲協会に診断書を提出した田子ノ浦親方は「もう1度ちゃんと調べる。本人は(巡業に)出たいだろうが、まずはしっかり治さないと」と話した。稀勢の里も巡業について「ダメであれば、しっかり休むという選択もある」と話していた。双葉山以来80年ぶりの「初優勝から3連覇」に挑む夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)に向けて、まずは治療に専念する。