大関とりの関脇高安(27=田子ノ浦)に今場所初黒星がついた。場所後の大関昇進には、目安として残り9番で5勝と、依然として数字上の可能性は高そう。ただ、かねて危惧されていた不安点が露呈したことを、協会関係者は指摘した。

 相手の関脇玉鷲(32=片男波)に対し、わずかだが立ち遅れたことを八角理事長(元横綱北勝海)は「立ち合いちょっと遅れた。いろいろ考えたんじゃないかな。立ち合いで集中できず当たりきれなかった。1発間違えるとこうなる」と分析した。さらに、立ち合いで失敗した後の対処法についても「土俵際で残る柔らかさがない」と指摘。再び攻めに転じる動きに、立ち合いで成功した時ほどの鋭さや攻めに工夫がないことは、かねて口にしていた。また勝った玉鷲について「玉鷲を褒めるべき。力をつけている」とも続けた。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、強烈な破壊力を持つ玉鷲に対しても、ここまでの相手と同様に胸ではじくように当たりに行った、高安の立ち合いに注目。「相手をはじくような立ち合いがベストなのかどうか。頭で行った方がいい時もある。相手によって変えてもいいのかもしれない」と指摘した。勝負に関しては「互いに駆け引きしない真っ向勝負だった」と、好評した。