今場所の優勝を占う結びの一番は、横綱白鵬(32=宮城野)が関脇高安(27=田子ノ浦)の挑戦を、気迫のこもった相撲で寄り倒しで退けた。協会幹部は、両者の経験値の違いなどを勝敗の分かれ目として分析した。

 右から張ると右に変化気味に体を開き、右を差した白鵬。粘られると今度は横綱が頭をつけ、勝利への執念を見せた。以前の白鵬なら、強引に投げを打つことも考えられたが、そんな強引さは封印し、勝ち方も念には念を入れる慎重さ。八角理事長(元横綱北勝海)は「白鵬は高安に力を出させない立ち合いをした。相手が強いと認めた証拠だろう」と、まずは立ち合いに注目。頭をつけたことには「危機感だろう。力をつけた相手に確実に勝つという余裕というかな」と推測した。

 37度優勝の横綱だけに、高安との経験値の差を挙げ「(持っている)勝ち方のバリエーションの違いでしょう。今日の相撲が大事なこと、優勝の仕方が分かっている」と評価。高安については「立ち合いが正直すぎた。心の準備が出来ていなかったような気がする」と読み解いた。自分の立ち合いが出来なかった時、その後の対処法に難があることは、かねて指摘していた。

 土俵下で審判長を務めた二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「反対だよな。反対に(高安が)頭をつけないといけない」と挑戦する立場の高安が、受けに回ってしまったことを敗因として指摘。一方で「しぼって、まわしを取りにいっている。横綱がうまいということ」と百戦錬磨の白鵬を評価した。