平幕優勝を狙う碧山(31=春日野)がひやひやの白星で、白鵬と1差の2敗を守った。

 輝と土俵際でもつれ合い、右足だけで俵上に残り、輝が倒れ込んだ。微妙なタイミングで物言いとなったが、協議の結果は軍配通り。ところが、肝を冷やすハプニングがあった。

 「どうかなと思ってた。相手が落ちたけど、僕も(左)足が外に出た。それに(協議後)最後の説明もちょっと分からなかったから。『…かかとが残っていたので、輝の勝ち』と言われて(体が)止まったよ」

 大きな1勝だ。11勝は、新入幕で東前頭16枚目だった11年九州場所、西前頭6枚目だった12年夏場所に続く3度目の自己最多勝ち星。12年夏場所は12勝同士の優勝決定戦で旭天鵬が栃煌山を破り、平幕優勝を飾った。それ以来、平幕優勝はない。

 「疲れてなかったら、ウソ」という終盤戦、原動力は最愛の妻ビオレタさんの存在だ。連日、1時間のテレビ電話で顔を楽しんでいる。「昨日は喜んでたね。笑顔でね。その笑顔を見て、僕は元気になった。今晩も笑顔で力をもらうよ」。夕飯は同じ部屋の栃煌山、栃ノ心と関取3人で後援者に特上ステーキをごちそうになった。「ブロックの肉をどーんと鉄板に置かれた。すごくおいしくて、どれだけ食べたか分からない」。ちなみに焼き加減はウエルダン。「おなかの調子が悪いから、よく焼いてもらった。それでも、今朝はだいぶ危なかった」。14日目はベテラン豪風戦。疲れと緊張の中でもちゃめっ気を漂わせ、元関脇が白鵬の背中を追いかける。