久しぶりに巡ってくる上位総当たりの場所に備え、返り三役を目指す男は基礎固めに余念がない。大相撲の西前頭2枚目阿武咲(23=阿武松)が12日、日本相撲協会を通じて近況を明かした。

この日を含め稽古場では「今は基本動作を中心にやっています」という。新型コロナウイルスの感染防止のため、接触を伴うぶつかり稽古や、相撲を取る稽古の再開などは各師匠の判断に任されている。ただ、ウイルスとの闘いは長期戦。今はジックリ、四股やてっぽうなど基礎作りを行っているようだ。

24日初日を目指し開催予定だった夏場所は中止になったことには「最初は戸惑いがありましたが、今は逆に時間があるので、その期間でしかできないようなことや、しっかり体作りをしようと思っています」とプラス思考に切り替えた。

最後の上位総当たりだったのは、三役2場所目で小結だった18年初場所。その後はケガで一度は十両まで落ちたが、2年半をかけて復活。西前頭5枚目だった3月の春場所は、10日目に全勝だった横綱白鵬を押し出し、通算2個目の金星を奪取。初の殊勲賞(三賞は4回目)も受賞した場所を「無観客っていうのが本当に最初は違和感だったのですが、すぐに慣れました。その中でも白鵬関に勝てたのは自分でも大きな一歩になりました」と振り返った。

無観客での開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)は2年半ぶりの上位総当たりとなる。約2カ月先を見据え「自分の課題は分かっていますので、そこを重点的にやっていこうと思います」とコメントし、感染予防策も「まずは外出をしないことと、部屋にいてもこまめに手洗い、うがいを徹底的にしています」と、抜かりはないようだ。