<第63回NHK紅白歌合戦>◇リハーサル◇29日◇NHKホール

 AKB48は今夏、グループを卒業した前田敦子(21)に代わり、渡辺麻友(18)がセンターに立った。今年は、09年から恒例となっている大人数での人文字を、2種類行うことも分かった。水森かおり(39)は、小林幸子(59)のお株を奪う豪華衣装を披露し、取材陣の度肝を抜いた。不出場の小林は今日、オーストリアに向けて出国することも分かった。

 渡辺がステージの中央に立った。「真夏のSounds

 good!」のイントロが流れると、かつて前田が立っていた場所まで歩き、足を止めた。グループ総勢171人の先頭で、全身にライトを浴びながら笑顔で躍動した。

 センターへの思いは人一倍強い。今年6月、AKB48選抜総選挙で2位になり、「来年までには必ず、センターにふさわしい人になりたいです」と宣言した。8月に前田が卒業し、グループが過渡期を迎えると、「次世代エース」と呼ばれる機会も増えた。だが、10月に発売されたシングル「UZA」では、センターに選ばれず、悔しい思いをした。それでも、「自分が悪いので…。もっと努力しなきゃいけないんです」とストイックに成長を続けた。

 渡辺のプロ意識は、メンバーやファンからも定評がある。前田も「麻友は、AKB48のアイドルの部分を大事に持っている」と認めている。どんなに体調が悪くてもイベントで笑顔をふりまくなど、エピソードは尽きない。次第に劇場公演や歌番組でもセンターを務めるようになり、グループの顔としての経験を着実に積んでいる。

 だが、視聴率40%の紅白歌合戦は、別格の大舞台だ。AKB48ファンだけではなく、日本中の注目が集まるステージで前田が務めたセンターに立つことは、相当な重圧がかかる。それも分かっているが、「本番は、がんばります」といつもの笑みを浮かべた。18歳のプロアイドル。大みそかの夜、「新センター

 渡辺麻友」を全国にアピールするため、静かに燃えている。【横山慧】