映画「明日に向って撃て!」「スティング」などで知られる米国の俳優、ポール・ニューマン氏が26日、がんのため、東部コネティカット州ウェストポート近くの自宅で死去した。同氏の事務所が27日、明らかにした。83歳だった。今年6月、がんで闘病中と報じられていた。

 1925年、米オハイオ州クリーブランド生まれ。第2次大戦に従軍後、エール大などで演技を学んだ。ブロードウェーの舞台で注目され、ボクシングの世界チャンピオンの半生を演じた映画「傷だらけの栄光」(56年)で一躍スターとなった。

 野望にあふれるビリヤードの名手を熱演した「ハスラー」(61年)、刑務所の理不尽な仕打ちに反抗する服役囚を好演した「暴力脱獄」(67年)などで演技力を備えた俳優の座を確立した。

 新感覚の西部劇「明日に向って撃て!」(69年)、痛快な詐欺師の物語「スティング」(73年)ではロバート・レッドフォードと共演、世界的なヒットとなった。「ハスラー2」(86年)で、念願のアカデミー主演男優賞を獲得した。

 他の代表作に「熱いトタン屋根の猫」「タワーリング・インフェルノ」「評決」などがある。「レーチェル

 レーチェル」(68年)などで監督も務めた。

 ベトナム反戦、反核運動にも積極的に関与、ハリウッドのリベラル派としても知られた。82年にはサラダ・ドレッシングなどを製造する食品会社を起こし、利益から2億ドル(約210億円)以上をチャリティーに寄付していた。

 カーレーサーとしても活躍、95年にはデイトナ24時間耐久レースのGTSクラスに優勝、70歳の史上最年長記録を達成した。

 2007年5月、米テレビで「もう満足できるレベルでの役者でいられなくなった」と述べ、俳優引退を表明した。