歌舞伎俳優市川海老蔵(38)と落語家三遊亭円楽(66)がそれぞれ記者会見を行ったが、ともに男を上げた、見事な会見だった。

 海老蔵は妻小林麻央(33)が乳がんだったことの公表、円楽は40代女性との不倫についての釈明と、会見の内容こそ、まったく違ったものだが、リポーターや記者の質問に丁寧に向き合い、ウソ、偽りのない真摯(しんし)な対応ぶりに、見た人の好感度も上がったことだろう。

 その中で、特に素晴らしいと思ったところがあった。あるテレビリポーターが海老蔵に「発覚から1年8カ月、長い期間だったと思いますが、どんな日々だったのか教えてください」と聞くと、海老蔵はすかさず、「長かったとおっしゃいますけど、これからもまだ続くわけですから」と答えた。麻央の闘病は続いており、現時点で1年8カ月を振り返ることはあまりに無神経な質問に思えた。しかし、海老蔵は少し言葉をのみ込む間こそあったが、冷静に対応した。

 また、円楽も妻はもちろん、相手女性への気遣いも見せつつ、不倫を暴露した写真誌「フライデー」の取材記者にも神対応をみせた。直撃取材を受けて、記者の車に乗り込んだ時を振り返って、「汚い車だったよ」と笑いを誘う一方、会見場で当の記者の姿を見つけると、「あの記事に感謝してます。ありがとう」と感謝の言葉を口にした。暴露されたことに憤るのではなく、感謝さえする姿は、会見場に集まった報道陣をも味方に付けた瞬間だった。【林尚之】