◆ターミネーター:新起動/ジェニシス(米)

 アーノルド・シュワルツェネッガーが03年「ターミネーター3」以来12年ぶりに主人公ターミネーター「T-800」を演じた。日本で85年に公開された第1作、91年の第2作をほぼ同時代で見た世代として「それが全て」というのが率直な感想だ。

 第1作同様、機械軍と戦う人類抵抗軍の兵士カイル(ジェイ・コートニー)が司令官ジョン(ジェイソン・クラーク)の母サラ(エミリア・クラーク)を救うために過去に向かうが、T-800に襲われたはずのサラが、T-800に育てられた女戦士になっていた。書き換えられた過去で、未来を取り戻すために戦うのが今回の物語だ。

 ミソはT-800が年を取ることだ。肌の素材が老化していく設定で「年を取ってはいるがポンコツではない」という、シュワちゃん本人の思いにも通じるようなセリフが印象的だ。若き日のシュワちゃんの顔を過去の映像から抜き、CGを重ね合わせるなどして作った若きT-800との対戦は見ものだ。

 シリーズの大ファンからは「物足りない」との声もあるが、新3部作の幕開けとなる“お祭り映画”として、完全新作のつもりで見ることをお勧めしたい。【村上幸将】

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