米俳優シルベスター・スタローン(69)が脚本を書き、主演し、77年のアカデミー賞で作品賞を受賞した名作「ロッキー」シリーズの新章が幕を開けた。

 主人公アドニス・ジョンソンは、ロッキーと世界ヘビー級王座を争ったライバル、アポロ・クリードの息子だ。ボクシングにとりつかれたアドニスは、自己流では強くなれないことを痛感し、ボクシング界から身を引いたロッキーにコーチを依頼する。過去の物語、映像を折り込みつつ、描かれる新たな物語は趣深い。

 アドニス役の米俳優マイケル・B・ジョーダンは、現WBO世界ウエルター級王者ブラッドリーを参考に1年がかりで体作りに取り組んだ。対戦相手を元WBA、WBCスーパーミドル級王者で無敗のアンドレ・ウォードら現役ボクサーが演じた。パンチの交換が実に速く、本物の試合を見ているように生々しい。

 ラストの試合が撮影された英国のグディソンパークはプレミアリーグ・レスターの日本代表FW岡崎慎司が今季3点目を決めたエバートンのホームだ。今、世界で最もボクシングが熱いのは英国という、世界ボクシング界の潮流まで折り込んだのも心憎い。ボクシング通も納得の1本だろう。【村上幸将】

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