ライトヘビー級の世界4団体統一王者ビリー(ジェイク・ギレンホール)は無敗の絶対王者。妻(レイチェル・マクアダムス)と娘(ウーナ・ローレンス)と幸せな日々を送っていたが、あるパーティーでライバルと乱闘になり、妻が暴発した銃の弾を受けて死亡する。ビリーは自暴自棄になり王座転落、裁判所命令で娘とも引き離される-。

 ギレンホールはすごい役者やわ。昨年の「ナイトクローラー」では狂気のパパラッチ怪演にシビれたけど、今度は王道って感じ。半年かけて作り上げた体はぜい肉のカケラもないし、トレーニング、ファイトも本職級の説得力があった。彼の魅力の本質、狂気じみた空気感はいかにも“壊れたボクサー”にありがちやし、見た目も内面も超リアルに仕上げてた。

 ギレンホールと相乗効果で輝くのが、トニー賞獲得歴のある12歳の天才子役ローレンス。痛々しく不器用な父との絡みが絶妙で。父に抱きつくラストシーンはしばらく頭から離れそうにないなあ。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)