ジャングルに1人残された少年モーグリ(ニール・セディ)は、黒ヒョウのバギーラに拾われると、母オオカミのラクシャの愛にも育まれ、野生でたくましく育つ。バギーラからジャングルのおきてを教わり、人間の知恵を封印。動物として厳しくしつけられる。ある日、人間を恨むトラのシア・カーンがモーグリたちの前に姿を現し、ジャングルに緊張感が走る。

 主人公モーグリ以外は全てCGで再現した。演技未経験のセディにとって、全編ブルーバックの合成という難しいデビュー作となったが、オオカミとの追いかけっこでは生き生きした表情を見せ、トラとの戦いの緊張感もうまく表現した。67年のアニメ版にもある、クマのバルーと川を渡りながら歌う場面は、セディが演じやすいように、ジョン・ファブロー監督がクマ役で水に入った。撮影の裏を想像するのも、ほぼフルCGというこの作品ならではの楽しみかもしれない。

 映像はやや地味な印象だ。「ファインディング・ドリー」や「シン・ゴジラ」「君の名は。」など今年の夏映画戦線は強敵ぞろいなだけに、作品を代表する名場面が1つでもあればと悔やまれる。【森本隆】

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