ロスを舞台に売れない女優ミア(エマ・ストーン)と、ジャズピアニストで自分の店を持つ夢があるセバスチャン(ライアン・ゴズリング)を描いたミュージカル。タイトルにはロサンゼルス、おとぎの国、現実離れした世界という意味がある。高速道路で渋滞にはまった人々が一斉に歌い踊るオープニングや、2人がプラネタリウムの中でふんわり天に昇っていく場面などは、まさにタイトル通り。高揚感とともに、物語に一気に引き込まれる。

 うっとりだけではない。夢追う2人が味わう現実が、2人の関係に微妙な不安定さをもたらす。真っすぐな2人はどちらも魅力的で、登場から好きになってしまっていただけに切ない。

 圧巻はラスト約7分間の仕掛け。出そうな涙も引っ込んでしまった。出会い、別れ、たくさんの選択。何が正解なんてないんだろうが、人生の不思議さ、怖さ、楽しさが詰まっていた。

 よくあるラブストーリーかもしれない。でも外から見えないだけで、どんな人の中にもラストで見たような吹き荒れる思いはある。ちなみに私の頭の中は「ラ・ラ・ランド」旋風吹き荒れっぱなし。どの曲も魅力的で、サントラを買った映画は久々です。【小林千穂】

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