NHKの報道番組「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、制作に携わった担当記者が所属するNHK大阪放送局の坂本忠宣局長は2日、同局内で定例会見を開き、同問題についての全ての質問に「現在、調査中ですので、明らかにならない段階でのコメントは差し控えたい」と繰り返し答えるにとどめた。

 問題となった番組は、昨年5月に全国で、同4月には関西地区で放送されていた出家詐欺を扱った番組。大阪府の男性(50)が、NHK記者の演技指導を受け、ブローカー役に仕立てられて収録したとされている。そのまま放送され、男性は「私はブローカーではない。演技をしただけ」と同局に訂正報道を求めている。

 同局は東京の編成局担当者らが前日1日、男性からの聞き取り調査を終えており、男性側によると同局は、番組制作に関わった当該記者への聞き取りも終えているという。

 東京放送局による調査は既にある程度進んでいる可能性が高く、大阪放送局も情報共有はしているとみられるが、坂本大阪放送局長は、この点についても「コメントは差し控えたい」と答えるだけだった。

 また当該記者の勤務態度や現状の職務状況にも「お答えできない」とした。

 一方で、視聴者からこの問題への問い合わせもあり、内容は「本当ですか」と真偽を問うものが多いという。件数については「そんなに多くはない」とした。

 やらせ疑惑の真偽以前に、視聴者に不安を抱かせた点についても、「調査の結果が明らかにならない時点でコメントはできない」とし、何らかの見解が発表されるまでは、コメントしない姿勢を貫いた。