サザンオールスターズ10年ぶりの全国ツアー「おいしい葡萄の旅」が11日、松山市の愛媛県武道館でスタートした。桑田佳祐(59)による熟練の歌声、軽妙なトークに加え、原由子(58)のソロステージや観客との記念撮影など、珍しい演出を多数盛り込んだ。桑田の闘病、活動休止もあったこの10年。変わらずに応援してくれたファンへの感謝の旅が始まった。

 冒頭、ステージ中央で、桑田が叫んだ。

 「10年ぶりに松山に帰って参りましたぁ~!」

 観客約5000人から大歓声を浴びると、笑顔でうなずき、再び叫んだ。

 「ツアー初日なんです。最高でございます!」

 大きな拍手を浴びると振り返り、メンバーと目を合わせて笑った。

 2009年から5年間活動を休止、10年には桑田が食道がんの手術を受けるなどしたが、ファンはサザンを待ち、13年の日産スタジアム、14年の横浜アリーナ公演などはチケット争奪戦になった。そして、今年は5人が感謝を込めて全国を回る。桑田はその思いをこの日も口にした。

 「ご心配をお掛けしたり、励ましてもらってばっかりで、ここまできました」「みなさんに背中を押して出されて、実現したツアーです」

 感謝の公演第1弾は約3時間半にわたった。最新アルバム「葡萄」収録曲を中心に、「エロティカ・セブン」など往年のヒット曲も披露。原のソロ曲「ワイングラスに消えた恋」では、普段はピアノ弾き語りの原が、舞台のセンターに立ってパフォーマンス。男女4人もダンサーを従えた。アンコールでは、ステージ上から観客との「記念撮影」も行った。

 桑田は最後に、「何度も言いますけど、また絶対戻ってきます!」と叫び、投げキスで締めくくった。来場者で、デビュー以来のファンという松山市在住の林みどりさん(52)忽那妙子さん(52)は言った。「久々に松山に来てくれたのでうれしいです。年齢も年齢なので次の全国ツアーも待ち遠しいです」。

 ツアーは8月18日の東京・日本武道館まで、全国11カ所で23公演。50万人以上の動員を予定している。【横山慧】