宝塚歌劇団星組の2番手スター紅(くれない)ゆずるが29日、シアター・ドラマシティ(大阪市北区)で、主演ミュージカル「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の初日を迎えた。7月6日まで。

 実在の詐欺師フランク・アバグネイルの自伝をもとに、米国で映画、舞台化もされている。パイロット、医師、弁護士になりすます役どころは、天才詐欺師。変幻自在のキャラクターを演じ、紅自身にとっても泣いて笑って“大忙し”の初日となった。

 すでに東京公演を終え、大阪出身の紅は「地元での公演を楽しみにしていました」。芝居のエンディング場面では、思わず本気で泣きそうになり、照れ隠しからか、はなをすするパフォーマンスで笑わせた。

 終演後のあいさつは、笑いの連続だった。星組メンバーから「関西人の名にかけて、紅ゆずるがあいさつします」と紹介され、大阪人らしいトークを期待させるべく、ハードルを上げられた。

 紅は、宙組から移籍してきた七海ひろきを紹介し、話を進めたものの、突然、大阪観光の話題に転化。「初めて大阪に来たって人、そういらっしゃらないとは思いますが、初めての人は、とりあえず通天閣に上ってみよう!」。唐突な大阪案内トークが軽くすべり、七海からは「何をしゃべるか、本当に考えてないんですよ。何も考えずにトークしているのが(大阪人らしくて)すごい…」。

 紅は、意味不明なほめられ方にも動じることなく「私の気持ちをお届けしたくて、あえて考えてない」と返した。ところが、客席の男性ファンから「かわいい~っ!」と声がかかると、おどけたしぐさで「え? すいません。どうしたらいいのか…」。

 普段は男役として、かけられることない言葉に動揺した姿にまた笑いが起こり、3回目のカーテンコールにこたえた。