今年の最低映画を決めるラジー賞こと第36回ゴールデン・ラズベリー賞が27日発表され、ベストセラーとなった官能小説を映画化した「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」とアメリカン・コミックの実写版「ファンタスティック・フォー」の2作品が、最低映画賞を獲得した。同賞は毎年、アカデミー賞授賞式の前日に発表されており、ロサンゼルスのパレスシアターで授賞式も行われた。社会現象にまでなった「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」は、他にも最低脚本賞、ジェイミー・ドーナンの最低男優賞、ダコタ・ジョンソンの最低女優賞、そして最低カップル賞の最多5部門を制する不名誉となった。

 また、「博士と彼女のセオリー」で昨年のアカデミー賞主演男優賞に輝き、今年も「リリーのすべて」で同賞にノミネートされているエディ・レッドメインが、「ジュピター」で最低助演男優賞を受賞。ラジー賞の常連で過去に「20世紀の最低主演男優賞」も受賞するなど歴代最多ノミネートのシルベスタ・スタローンが、素晴らしい演技で名誉を回復した俳優に贈られる「名誉挽回賞」に輝いた。スタローンは「クリード チャンプを継ぐ男」で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。

 ラジー賞は一般の映画ファンからなる会員およそ800人による投票で決まる賞で、授賞式では金メッキでできたラズベリー型のトロフィーが授与されるが、不名誉な賞のためにノミネートされた人が授賞式に出席する人は稀。しかし、過去には2010年に「ウルトラ ILOVEYOU!」で最低女優賞にノミネートされたサンドラ・ブロックが授賞式に姿を見せ、その翌日に行われたアカデミー賞で「しあわせの隠れ場所」で主演女優賞を受賞したこともある。(ロサンゼルス=千歳香奈子)