大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」を手がけた新海誠監督(43)と、劇中音楽を担当したロックバンドRADWIMPS野田洋次郎(31)が27日、都内で開催中の東京国際映画祭で、トークショーに出席した。

 野田とは製作中から綿密に話し合いながら物語を構築していっており、映画のタイトルも歌詞を参考にしようとしていたという。同監督が「タイトルも詩の中にあるんじゃないかと思っていた」と明かすと、野田も「『タイトルになりそうな詩はありませんか?』と言われた」と笑っていた。

 新海監督が野田に求めたのは、歌詞のメッセージ性の強い曲だった。「大盛になっていて、受け止めきれない映画にしたいと思った。全部詰め込みたいと。だからボーカル曲を4曲とか、音楽側に過剰な要求を言っていたかも」。野田は当初、「言葉が映画を邪魔してしまうのではないか」と遠慮気味だったが、「監督の強い意思を感じた。特に(主題歌の)『前前前世』は攻めきろうと思った。監督にも(背中を)押していただいたので、励みになった」と振り返っていた。

 東京に住む男子高校生と、岐阜の田舎暮らしの女子高生が、時と空間を超えて切ない恋をするファンタジー作品。最後は2人が出会う大団円だが、新海監督は物語の方向性は決めていたという。「1度、奇跡が起きる話にしたいと思っていました。現実がハードすぎると思った。願いでもいいから奇跡を起こしたかった」。特にラストシーンはエンディング曲「なんでもないや」の歌詞から着想を得たといい、「『もう少しだけくっついていようか』という歌詞があって、『(2人を)出会わせて終わってもいいんだ』という確信を持てた」と明かし、ファンを驚かせていた。