-生活はがらりと変わったか

 田口 それほど変わってないですが、アクティブにはなっている。大阪に曲作りに行ったりとか、支えてくれるDJ、ラッパー、シンガーがいるので。そういう人たちと曲作りをやっています。

 -以前できなかったことで今できていることは

 田口 できなかったことはなかったけど、できることの幅が広がったという感じで、振り付けも自分でダンサーと考えながらやったり。1つ1つ手作り。1つの作品として残るものだから、自分の納得いくまで、妥協せずやっている感じがします。

 -グループにいてソロ活動をするという選択はなかったのか

 田口 言葉で言うと難しい。みんなやりたいことがそれぞれあるし、単純にソロでやりたいから、という理由で辞めたわけではありません。応援してくれるファンの方々の中にも、納得できないと思った人もいたと思う。そういう思いも背負って、自分は生き方で返していければ。

 -ジャニーズ事務所にとどまってソロ活動という選択は

 田口 その時は選択肢がそんなに広くなかったんじゃないかな。選べる立場というか、何て言ったらいいのかな…。自分がそんなに選べる立場でもない中で、もちろんメンバーとも話したり、結果として、こういう形になったというのが事実としてある。ソロ活動をやろうと思ったのは、事務所を辞めてからだった。事務所の中で育ったタレントの1人で、グループの一員でしたから。

 -ソロ活動がしたくて辞めたのではなかった

 田口 そうです。そこは伝わっていない部分だと思うし、1個1個説明するのも筋が違うかなと思う。人間として、男として、人生の岐路だったのでしょう。30代に入ったというタイミングも大きかった。僕の友人でもいますが、転職とか30歳で進路を変える人が多くて、男として歩んでいる中で、転機がそのタイミングだった。20歳でデビューして10年間、大きいグループでの活動を経て、1つの自分の区切りでもあったのかな。自分の生き方と、会社に所属する人間としての葛藤があったのは確かです。そこで誰しも選択というものがある。自分は組織とは違う別の方向に行く決意をしたというのが、辞めることにつながったのかな。正直、不安でしたよ。もちろん生活が変わりますし。その中でも、自分の体の中に、音楽というものが大きくて、子供のころからやってきて触れた文化だし、自分が得意なもの、ダンスだったりあったわけだから、そういうものを求めてくれる人のために頑張りたいなと、また思った。何かちゃんと自分の力で表現者として生きていけたらいいなと思ってスタートした。だから今の自分を見て、受け取ってくれればと思います。

 -具体的にはいつごろからソロ活動を意識した

 田口 辞めて1カ月ぐらいは何も考えてなくて(昨年の)5月に入ってぐらいから。自分の周りにも、音楽やっている人がたくさんいるし、そういう人たちの活動を見ていても、心が揺さぶられたというか。自分もやはりそっちの立場、ステージに立つべき人間でありたいと再認識したというか。活動のフィールドは違うけど、伝えたいものをそれぞれ持っている。自分にも部分があった。もちろん、かっこいいとか、声援を浴びる中で生きてきて、歌や踊り、体形維持など、そのために努力した。そういうものは体に中に染みついていて。純粋に自分の力でどこまで勝負できるのか、アーティストとしての生き方をどれぐらいできるのか、純粋に知りたかった。

 -KAT-TUNでは、田中聖、赤西仁が先に事務所を離れてソロ活動をしていました

 田口 影響は全然なかったです。もちろん知っていたし、活動しているのも分かっていたけど、彼らの影響で、というのは違うかな。それぞれ頑張っていく、というのがお互いの生き方ですから。

 -6人組だったKAT-TUNは現在メンバーは3人で活動も休止中

 田口 個々に活動もしていると思うし、休止を決めたことは、もちろん僕も実際ノータッチで、3人が選んだことだと思う。僕は正直、自分のことでいっぱいいっぱいで、それはみんなもそれぞれの得意とするフィールドがあって、そういうのが合わさってグループだったと思う。お互いそこは伸ばせていければと思います。何年後かにお互いに納得いく形でまた会えたらいいなとは思います。

 -3人とは連絡を取っている

 田口 取ってないです。自分にとっていろいろ新鮮なこともたくさんあるし、その分、毎日、1日1日がすごく大きいので、そこを考えることでいっぱいいっぱいです。新しい場での仕事、経験したことのない仕事もあるので新鮮です。