映画やテレビ、舞台で親しまれ、10日に96歳で死去した俳優森繁久弥さんの葬儀・告別式が20日、親族や関係者約1000人が参列し東京都港区の青山葬儀所で営まれた。

 俳優の小林桂樹さんや黒柳徹子さん、小泉純一郎元首相らが訪れた。東宝の松岡功名誉会長は弔辞で「深みを持ち愛される希代の名優だった」とたたえた。森繁さんの次男で喪主の建さんは「皆さんそれぞれに父との熱い思い出を持って参列してくれたことを、父は喜んでいると思う」とあいさつした。

 葬儀会場には森繁さんの歌声が流れ、異例の赤いカーペットが敷かれた。赤や黄色の洋花などが飾り付けられた祭壇には、2003年の記者会見時に撮影した笑顔の遺影や文化勲章が掲げられた。

 葬儀の後、多くの作品で共演した小林さんは「悪口を言いながら仕事をさせてもらいました」としみじみ振り返り、中村メイコさんも「本当の意味ですてきな大人がいなくなってしまった」と別れを惜しんだ。

 森繁さんは戦後映画界入りし「夫婦善哉」や「社長」「駅前」の両シリーズなどで活躍。ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」で上演900回を達成し、作詞・作曲した歌「知床旅情」もヒットした。1991年に大衆芸能の分野で初の文化勲章を受章した。

 20日午後にファンとの「お別れ会」が同葬儀所で開かれる予定。

 [2009年11月20日12時58分]ソーシャルブックマーク