文芸春秋が1958年に開いたイベントで三島由紀夫や石原慎太郎さんら作家が芝居を演じた文士劇のカラーフィルムが、26日までに見つかった。

 来場した小林秀雄や江戸川乱歩らの姿もある貴重な映像で、同社はテロップを入れてデジタルデータ化した。

 文芸春秋によると、フィルムは今年8月、映像技術会社「イマジカ」に保管されているのが発見された。

 映像は59分。58年11月開催の「文芸春秋愛読者大会」を紹介する内容で、東京・有楽町の旧東京宝塚劇場の外観や楽屋風景とともに舞台の様子が撮影され、ナレーションが入っていた。59年にNHKで放送された。

 演目は菊池寛原作の「入れ札」と、歌舞伎「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」などを翻案した「音菊(おとにきく)文春歌舞伎」。石原さんが助六を、三島が意休を演じ、有吉佐和子と曽野綾子さんがそれぞれ花魁(おいらん)の揚巻と白玉に扮(ふん)している。

 「文春文士劇」は、作家の人気をアピールしようと菊池が発案して34年に始まった。戦後は52年から78年まで、毎年開かれた愛読者大会で上演されていた。

 文芸春秋が25日発売した書籍「芝居を愛した作家たち」(道又力さん編著)は、ゆかりの人々がつづった文士劇の逸話を収めている。