歌舞伎俳優坂田藤十郎(82)が26日、東京・銀座の歌舞伎座新開場一周年記念「鳳凰(ほうおう)祭四月大歌舞伎」で、約60年演じ続けた「曽根崎心中」のお初役を演じ納めた。

 藤十郎が同作でお初を演じるのは、1953年(昭28)の初演から数えて1351回目。歌舞伎では珍しくカーテンコールも起こり、深々と一礼して応えた。

 終演後、藤十郎は「千秋楽が無事に終わってよかった。明日からお初に会えないと思うと寂しいですが、また次の役に切り替えたい」。カーテンコールについては「感謝の気持ちでいっぱいでした。うぬぼれかもしれませんが、幕が開いてお客さんからの温かい風のようなものを感じました。うれしい風でした」と感慨深げに話した。

 会場には小泉純一郎元首相らも駆けつけ、最後のお初役を堪能していた。