人間国宝桂米朝(88)夫人で元大阪松竹少女歌劇団(現OSK日本歌劇団)の女優、中川絹子(なかがわ・きぬこ=享年88)さんの葬儀・告別式が28日午前、兵庫県尼崎市で行われ、桂ざこば(66)ら251人が出席した。米朝も車いすで参列。淡々とした表情で、56年連れ添った最愛の妻に別れを告げた。

 絹子さんは20年近く前からパーキンソン病を患い、3年前からは入院生活が続いた。米朝もたびたび見舞い、亡くなる前日にも面会しており、覚悟はできていたようだ。米朝事務所によると、控室でも終始、穏やかな表情だったという。

 喪主を務めた長男で落語家、桂米団治(55)は「直系27人、やしゃご弟子まで含めて60人以上の一門の母として、米朝の陰となり陽となり、ときには矢面に立ってきました。こんなに多くの人に送られて、母は幸せ者です」とあいさつ。涙をこらえ、ときには笑顔も見せながら、参列者に頭を下げた。

 絹子さんはOSK15期生として首席入団。男役「駒ひかる」として活躍していたが、戦争のため活動を中断した。この日、献花の際には、OSKテーマソング「桜咲く国」が流された。絹子さんは、58年に米朝と結婚後、舞踊の先生もしており、米団治は「舞踊で市川猿之助(現・猿翁)を抜くんや言うて、舞台では八面六臂(ろっぴ)の活躍でした」と振り返った。