東京・浅草で最後まで映画上映を続けてきた名画座3館が21日、閉館する。常設映画館発祥の地である浅草から最後の銀幕が消えることで、映画ファンからは惜別の声が上がっている。

 3館は、浅草新劇場、浅草名画座、浅草中映劇場。新劇場は日本映画の名作、名画座は任侠(にんきょう)映画や喜劇、中映劇場は洋画をそれぞれ中心に上映してきた。閉館について、3館を運営する「中映」(東京)は「施設老朽化をはじめ複合的な理由」とし、親会社の松竹の広報室は「跡地利用については現在検討中」としている。

 浅草では1903年に日本初の常設映画館「電気館」が営業を始めた。映画の街として全盛期だった昭和30年代には30以上の映画館があったが、テレビの普及や娯楽の多様化、シネコンの登場など時代の流れとともに映画館は次々と閉鎖していった。

 この日は閉館セレモニーは特に行わず、新劇場で午後7時から上映の故松田優作さん主演「あばよダチ公」(1974年)が3館最後の上映作品になった。