<第11回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 ジャニーズの異色タレント生田斗真(23)が、「第11回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の助演男優賞を受賞した。フジテレビ系「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス」の中津秀一役で、コメディーセンスを存分に発揮。一躍知名度をアップさせた。クールな二枚目の裏に潜む素顔は、泉谷しげる(59)にあこがれる熱血漢だった。

 生田はトロフィーを見つめてつぶやいた。「賞をもらえるのは、これまで多くの人にお世話になって、今の自分があるから。義理人情は絶対に忘れちゃいけないですよね」。

 07年は、「花より男子2」で悪役高校生を憎々しく演じた後に、この中津役で対極のコメディーセンスを発揮した。その後には「ハチミツとクローバー」で、準主役の純朴な狂言回しと、多彩な演技を披露した。中でも「花ざかり-」は生田にとっての出世作。「初回のロケではパラパラだったギャラリーが、最終回では人だかり。僕もチビッコやサラリーマンという、今までにない人たちにまで声を掛けてもらうようになって…。このドラマの大きさを感じました」。

 同世代の男(ライバル)ばかりの現場は刺激的で、自由な雰囲気だった。「いい意味での競争社会で、力を合わせていると実感できた。アイデアを持って行くと、スタッフがディスカッションしてくれる。パンティーのかぶり方1つまで、必死に考え抜いた3カ月間でした」。生田1人での片思い妄想シーンは、ドラマのお約束になった。

 口をつく言葉は、冒頭のつぶやき同様にしゃれっ気はなく、むしろ武骨だ。格好良さの定義を尋ねると「男として仕事に必死で、結果も残して、毎日楽しそうにうまいお酒を飲んでいる大人たち」と答えた。「カッコイイと思えた先輩たちは、みんなかっこつけない人たちでした」。

 例えば「ハチミツ-」で共演した泉谷しげる。「『最近のバンドがいい曲を出しているのを見ると、メチャクチャ悔しい』って言われるんです。あの年で本気で悔しがる泉谷さんって、メチャ輝いている。それを聞いてると、何でオレはまだ23歳なんだって悔しくなるほど」(笑い)。泉谷の頭ではなく魂が、まぶしかったという。

 ジャニーズでは異端児だ。成人ながら、いまだ歌手デビューしていないジャニーズJr.。それでも、俳優として名を上げ、CMにも単独出演する。「昨年大みそかのカウントダウンコンサートでは、子(ね)年の赤西仁、錦戸亮たちと“年男コーナー”みたいのがあったんですけど、彼らはKAT-TUNやNEWSとしても出番がある。オレはここにいて大丈夫かなと(苦笑い)。でも、人と違うことは好きですし、不安定な分必死になれますから」。

 中津役のようにパンティーをかぶるポーズか、ピンクのナース姿を撮りたかったと言うと「この作品での受賞ですから、衣装持ってきてくださったら、アリでしたよ」。この懐の深さ。可能性は無限大だ。【瀬津真也】

 ◆生田斗真(いくた・とうま)1984年(昭59)10月7日、北海道生まれ。96年ジャニーズ事務所入り。同年の「天才てれびくん」でデビュー。代表作は97年朝の連続テレビ小説「あぐり」など。舞台でも活躍。CMは今年のケンタッキーに出演。175センチ。血液型A。